☆第五回即興詩会(夏の陣編)
ワタナベ

ワタナベ「空の箱」 10分間で はじめー


○田代深子
「空の箱」
足から入り腕を出すと
そのダンボールのほかは空ばかりで
おれは首も伸ばし下をのぞきこんでも
からりと晴れ風鳴る空のどこまでも

しまった
あれも連れてつれてくればよかったと
ポケットの小瓶をあおって
ああ携帯もないし
ダンボールは揺れもせず
ただ口を空け
どこかへとしょんべんを放った

○月見里司
「空の箱」
ちいさい点が見えて
どうにもならないことがわかる。
むげんの草原に立って
何処へでも着く前のわたしたちと
平坦な雲の列の
ゆるみ。

わたしたちの脳は
厳重にかぎをかけられた、
歩きつづけるよりはむしろ
苦しむことを選んだ、
沼をひとつ見つけ
わたしたちは空のすき間から
上へとのぼってゆき

わずかな塵。

○いかいか
「空の箱」
私たちが川べりで
ゆっくりと下っていくころ
私たちの稲の家は、
多くの、実りの中で、
燃えては、陰る、
無数の瞳の群れ、
私たちの抜け落ちた湿地帯、
かの田園は程なく夏へと入る
そして、私たちの懐かしい 挨拶の香りは、
この亜熱帯の都市の下で揺れては消える
ところで、と、私が打つ、
可能な限りの濁点の数が
濁る川べりで下っては上る、
そしてまた繰り返す、
陰る田園を挨拶の残り香が飛ぶ、
聞けばそれは
どこかの誰かが揺れては消えた
鉱石の振動、

夏、
田畑が 燃えるのは、
私たちが亜熱帯のざわめきを抜け
燦々と降る挨拶の中へ
突き抜けたからだ、

☆田代深子
いかくんのはモチーフがとてもいいけど もうちょっとまとめられるとよかったね

月見さんのは逆にすごくよくまとまってるけど 一発インパクトがほしかったな


☆いかいか
田代さんのは、まさに空の箱という感じで、あっけらかんとした感じが出ていて、
うまくテーマをとらえているとおもう

☆月見里司
田代さんの作品は明快ですね。

☆櫛田鶇吾
月見さんのはなんとなく上手くまとめようとし過ぎてるように思うね。イメージは伝わるけど。

*この後、寸評会の途中でフォラムのサーバーダウン、7月15日@リアルタイム会議室A
ですので、寸評会の雑感、及び、私的な判断で軍配は田代さんに。


散文(批評随筆小説等) ☆第五回即興詩会(夏の陣編) Copyright ワタナベ 2007-08-21 23:38:26
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