遺跡
あおば

                    07/08/21


巨大な遺跡を偽造する
コンクリートの砕けた塊
焼けこげたオート三輪
何でもかんでも積み上げて
ついでに使えなくなった
日本男児の魂を
三角形に積み上げて
隙間に小石を突き立てて
コンクリートを流し込み
モルタルで仕上げする
左官屋さんの手慣れた
平面が
垂直にしても垂れない技術の
時代を超えて生きている根性が
なにくそと言うほどもなく
滑らかに鏝を滑らせて
遺跡の表面を鈍く光らせていく

あれから50年
未曾有の発見が続いて
遺跡の偽造は姿を隠し
敷地の草むらから灌木が生えて
鬱蒼とした森になろうとしている
光が射すことの少なくなった
地表には
銭苔、杉苔が繁茂して
空からの水気を保ち
次世代が
カミナリに跨って
ドカンと来るかと
頸をすくめて
見上げてる






自由詩 遺跡 Copyright あおば 2007-08-21 20:40:28
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