水滴は山奥にいる
構造

砂浜から逃げつづけて水滴は山奥にいる
そして逆立った木々の幹を傷つけて
樹液を出しつづける

万象は敵情を視察する、
笑いながら連呼される木霊が
掻き消されるまでの残響が
おわったときのしずかさに
すべてが何かをにらみつけている

陰謀がとっくにおわったことを知り
蝉たちが鳴いて飛び去る
闇に体を染め
目をぎらぎらさせながら
これらが平野や海岸の物たちのような
ほかのなんらかの形をとって
あらわれることだけを
呼吸が防ぎつづけていた

そして
空気をかぞえて無数とは
よくぞと得心したものだった


自由詩 水滴は山奥にいる Copyright 構造 2007-08-19 23:01:06
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