空の箱
田代深子
足から入り腕を出すと
ダンボールのほかは空ばかりで
おれは首のばし
下をのぞきこんでも
からり晴れわたり風鳴る底なしの
しまった
あれも連れてくればよかったと
ポケットの小瓶をあおるが
ああ携帯もないし
ダンボールは揺れもせず
ただぽかんと口を空け
どこかへとしょんべんを放った
自由詩
空の箱
Copyright
田代深子
2007-08-17 23:34:13