山中 烏流

耳元で囁くように
一番遠いところから
叫ぶように
声は、聞こえている
 
土の上に横たわった
私の頬に、そっと
それは静かに目を閉じながら
ひとつ
口付けを交わす
 
 
限りなく白い空に
溶け込む第一歩として
それは
透明な羽を震わせて
ないた
 
その、指差す先で
誰かが息を止めたなら
空は
それを受け入れたのだろう
、多分
 
 
小刻みに震える透明は
耳障りな音で
何回も語りかけている
私はその音に
知らないふりをした
 
七回目の夜が
私の視界を閉ざしたとき
きっと、この音は
やむから
 
 
点滅を繰り返す電灯に
 
羽が、
群がっている
 
 
土に開いた
指先ほどの穴に
人差し指を刺しては
また、戻す
 
七回目の夜が
昇って、
 
 
 
その音が
やんだ、その瞬間
新たな透明が
羽ばたいて空に溶けたのを
 
私は
知らないふりをした。


自由詩Copyright 山中 烏流 2007-08-17 21:37:56
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