電話
はらだよしひろ

いつの間にか
喧嘩になった

瞼の奥の埃が積もって
想いが行き過ぎてしまったのか

あどけなく
 
そして

空ろに

互いの気持ちを
飛ばしたね。

だから
言葉が刃になってしまったんだ

好きだよ

僕を流れる熱さが
ほとほとと込み上げて来て
君を抱きたいと思った


悲しい声
電話の向こうの悲しい声

謝らなかった理由

君の言葉に納得できなかったから
それ以上に
君が好きだから

裡にこもったわだかまりを
体いっぱい声にしても

僕は三十一年間生きてきた
全てを使って拒んだんだ

僕の全身を使って
僕を殺し
君の悲しさを拒んだんだ

まだ何も伝えていない
 
けど

今度あった時は
涼しげな顔で
笑っていたいね

僕にも理由があって
君にも理由がある


自由詩 電話 Copyright はらだよしひろ 2007-08-15 15:52:42
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