甘いパン
なを
かわいた草むらをかきわけて歩きながら、
甘いパンをわけあって食べる。
ふくらんだあなたの頬をながめていると
わたしたち死ななくてもいいのかもしれない、
だれかから許してもらったみたいな気ぶんになる。
草むらがとぎれて砂におおわれた道へ出る。
ゆびのやわらかいところでもっとやわらかいところを撫でる。
パンくずをはらいのける。無心に。
あさはかなわたしたちのお祈りはパンくずのようで
歩くうしろに鳩が群れる。
ふりかえりふりかえり、あなたは笑う。
無心に。
わたしたちもしかして死ななくてもいいのかもしれない。
あなたと甘いパンをわけあって食べる。
パンくずをはらいのける。
これがお祈り。