ロストフロスト
しろう

ぼくがうたをわすれても
みつけだしてくれるかい
シンバルのオモチャでも
つかんでいてくれるかい



死体を晒さぬカラス
月にかくれた月蝕に問おう
倒錯しないか

好きだった白薔薇の白
赤錆びの鉄をなめた味
自転車にのせた青草の匂い
こふ、と気管をこする擦過音

白い壁には
黄ばんだ幻覚が浮かんで
カッと見開いて
見てみろ
おまえの口端からペイズリーがはみ出してるぜ

パーマネントのスフィア
春の終わりに喪った断続が
カラスを抱いて白いサルを連れ去った
短い爪の先に赤土をめり込ませ
夏に降り積もる霜をほじくり返す
白骨を拾い集めながら



うたを
おもいださなきゃ
せかいを愛す
うたを





自由詩 ロストフロスト Copyright しろう 2007-08-11 23:45:50
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