午後
竹節一二三

灰ぶちのねこのしっぽを追いかけて
角のコンビニでりんごジュースをかう
こいびとはきゅうに消えたわたしをさがし
視界から消えるなとおこる
このしあわせはいつまで続くのだろう

雨色の雲がおひさまをかくす
湿気はすくないから雨はふらない
りんごジュースにストローをさして
まだつめたいと飲み込んだ
めがねをはずして小さくキス
りんごの味だとわらいあう
このぬくもりはいつまであるのだろう

こおりついた指先で山のむこうをゆびさす
ほそい煙がたなびいて
わたしは死をかんがえる
こいびとの骨ばったてのひらに
急におこった不安をだきしめる
きのうの晩つまようじで突き刺したきずあとが
まだ赤くおやゆびにのこっている
このいろあいはいつまでのこるのだろう

灰ぶちのねこは老い
りんごジュースは腐る
雨はふる
煙はいつか空にとけ
これくらいのきずあとはニ三日で消える
こいびとは老い
わたしも老い
キスは何度もし
別れるかもしれない
そしていつか死がおとずれる

このしあわせはいつまで続くのだろう
このしあわせな午後はいつ終わるのだろう


自由詩 午後 Copyright 竹節一二三 2004-05-24 21:59:32
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