幽閉
蘆琴

其の音楽は開かれたまゝ放置され
本がはばたかす羽も鉄の壁に遮られ
隣の部屋より袋の流れくる
鳥達の床にばら撒かれしさま

僕はいま閉じ込められてゐる

人は死の裾野に生まれて
其のペンが紙を生かしてゐる
詩よ生を以て山の頂上で囁け
僕は死をいだいて以て飛び散らん

そちらから声が聞こえる限り
をんなは決して向かうへ行かぬ
せめて男を待つてやらう
をんなは手を振つて命を燃やす

だが、ひつくり返す度胸だ
砂時計へと沈めば知りうる
この細い夢を通らずして
かつての道を捨つること能ふや


自由詩 幽閉 Copyright 蘆琴 2007-08-10 00:09:42
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