ビーフシチューのうしろ
鳥獲

あら、こんばんは。
でもあなた、私の頭の中の人ね。
いいの、退屈していたの。誰もお話する人がいなくて。
あなた、ビーフシチューは好きかしら?

か、ごめかごめ。

作っているの。まだ途中よ。
牛肉、炒まった。玉ねぎ、炒まった。ニンジン、炒まった。
それで煮込みながら、今ジャガイモを切っているのよ。
ジャガイモ、面取りするの。

か、ごのな、かのと、り、は。

面取りしたジャガイモって、きれいだと思う、私。
不思議なの、角以外は削っていないのに、全体がすべすべになるの。
火を通していないのにやわらかい感じ。
でも鍋に入れると硬い感じ。

い、つ、い、つ、で、や、る。

いつ煮えたかわからないの。煮崩れないから。
煮崩れないように面取りしたのにそのせいで煮えたかどうかわからない。
煮えたと思ってもカチカチで、じっくり煮込むと結局ぐずぐず。
仕方ないから、一個は竹串でさしちゃうの。ざくって。

よ、あ、け、の、ば、ん、に。

手間をかけるなら、ニンジンだって面取りをしてもいい。
でもやらないの。今日、ニンジン薄切りだから。
苦手なの、あの人。
面取りをしたニンジンもきれいだと思う。

つ、るとか、めがす、べった。

お野菜が煮えたらデミグラスソースをぐっと入れちゃう。
アスパラ、アスパラは彩り。だから最後に添える。
ヒポポタマス。ううん、思いついただけ。
私、ニンジン好きよ。

うしろのしょうめん
だ。
れ。

ヒポポタマス。ううん、思いついただけ。
私、ニンジン好きよ。


自由詩 ビーフシチューのうしろ Copyright 鳥獲 2007-08-09 12:44:54
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