コンビニエンスリアリズム
新守山ダダマ

この世の全てのコンビニから
「お弁当温めますか?」の問いかけが消えた時
俺は慟哭するだろう
コンビニで買った弁当は何としてもコンビニで温めてもらわねばならぬ
家に電子レンジはないしコンビニで温めてもらうほか道はない
コンビニ弁当は俺の現実そのものだ
体に良くないがコンビニ弁当で食いつなぐのが俺の現実だ
現実が冷めていてはいけない
不健康でも少しでも健康であるために、そして少しでもおいしい思いをするために
現実は熱くなければならぬ この現実が全てなのだ
俺のおいしい理想はこの現実の中で叶えるべきものだから
俺は現実的に戦略を立てるしこの現実に対して冷めた考えは持たない
今夜はお目当てのハンバーグ弁当が売り切れていた だからのり弁当で妥協した
「お弁当温めますか?」 このささやかな慈悲を無駄にするな
温まったのり弁を持って帰って
俺は明日を見据えてよく噛んで食べる
いつかは抜け出せる


自由詩 コンビニエンスリアリズム Copyright 新守山ダダマ 2007-08-05 01:16:36
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