8月
あおば
8月になってしまった。月末を過ぎれば9月になる。
台風五号が襲来して九州地方を蹂躙している。四号は関東にも近づき緊張させられたのだが、五号はテレビ画面で脅威を知る。穴に閉じこもって通過するのを待つのが上策に思えるのだが、人間社会は惨いもので、穴に潜ってばかりも居られず、風雨の激しい最中に仕事をしなくてはならない人も多く、難儀なことと穴蔵のような部屋からテレビを眺めている。
台風五号のニックネームはうさぎとのことで跳んだり跳ねたり無邪気な姿をイメージするが、なんで傍若無人に荒らし回る台風に無邪気な動物の名を付けるのかと、洒落の分からぬ我が身が情けなくなっている。
9月になれば夏も終わる。
すべてのものは虚しいものと9月の風は言うだろう。台風も来て文句を言う奴は表へ出ろと言うように風が吹き、雨も降り洪水となって土石流となって襲ってくる。
9月になれば楽になれるかと期待もするが、9月になれば9月の仕事もあって人々は鞄を抱えて全国を全世界を走り回り飛び回り虚しさを忘れて活動をよりいっそう強めて10月の準備をする。10月になれば11月の準備をして、その次へその次へと終わりのない世界を築いている。それが憎たらしいのか台風五号は意味もなく吹き荒れて、遠くの関東地方にまで気分を伝え、落ち着かない。まるで、あたまの中を、テレビの中を、台風のように渦巻いて吹き荒れて得意になっている。
070803