ガリレオ・ガリレイの溺死
柳瀬


僕はなんでも欲しかった

「意味がないもの」なら、なんでも欲しかった

僕は僕も欲しかった

あの子を僕の代わりにしてたから、あの時はあの子も欲しかった

あの子は頭が悪かったから

僕を問いつめる事もしなくて

ただ、

ただ、

それなりに幸せに暮らしたふりをして

墜落して行った


あの子が緑になった時も

あの子が赤になりたかった時も

僕は見ていた

あの子に意味はないから

ただ、

ただ、

倒れるのを待っていた

死んで欲しかった



(乳首は黒で鼻の頭は桃色

     そばかすが並んでいる頬は汚い)



今はもうそれぽっちの内蔵しか、あの子の中には無い

それ以外は、僕の親指と人差し指で潰して全部剥ぎ取ってしまった



それでもやっぱり、あの子はぐちゅぐちゅだったから

僕を問いつめる事もなく

ただ、

ただ、

「中に出してよう」

と、汚い頬を僕の胸に擦り寄せながら泣いた


自由詩 ガリレオ・ガリレイの溺死 Copyright 柳瀬 2007-07-31 01:19:12
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