祖母が踏みしめたニコチンコンクリート
こうや

道路に捨てられた タバコ
雨で濡れてふやけて溶けた

日々吸収してゆくコンクリートは
ついにニコチン中毒となった
それは
お祖母ちゃんが乙女だった頃の 地面のハナシ


私は縁側に座って
真っ赤に熟れたスイカを食べる
わざと汁を滴らせて
地面にボソリとした染みをつくるのが 好き

お祖母ちゃんはきっと知らなかっただろうな
こぼれた汁に群がる蟻も
種が土の色と同化する様も

かつてニコチン中毒だったコンクリート
溜まりに溜まった白い煙を
今は地球の裏側に吐き出しているらしい

すでに亡き祖母にとっても
スイカにむしゃぶりつく私にとっても
そんなことはもう無関係である



自由詩 祖母が踏みしめたニコチンコンクリート Copyright こうや 2007-07-22 20:21:08
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