旋律街
hiro

ビルの間から差し込む月輪の筋が
静寂に包まれた街の噴水の塔を照らし
風が精緻に形どった街灯をなでた

噴水の前に赤毛の女が立ちつくし
トランペットを月明かりにかざした
そして風が吹き止むのと同時に拭き出した

渇いた街の中に音は共鳴し
噴水の無表情な水面を靡かせた

突然噴出した噴水のしぶきが
宝石のように月明かりに照らされ
波紋を描く水面の上に零れ落ちた

噴水の清澄な旋律と
トランペットの闇を裂くような旋律が
融合し街を騒ぎ立てた

しかし赤信号の点滅が止むと
赤い髪の女の姿はなくなり
街はまた静まり返った


自由詩 旋律街 Copyright hiro 2007-07-21 19:34:42
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