万人の為の詩
円谷一

森の中で宙に浮かんで君の手を離さない
君とイヤフォンでこの曲を聴くよ
太陽の光を遮って君と僕だけの世界に視界を沈ませるんだ
海水を泳ぐようにどこまでも進んでいく
心の中を泳ぐように暗闇に塗れて
永遠の歌 僕達は叙情詩を詠うよ
君を思い出すと傷口が開いて 心が大きく振幅するんだ
僕は傷の痛みで詩を書いている
他人の評価は要らないんだ 君だけに格好良くい続けたいんだ
地面が空中に溶けて 視界が全く見えなくなる
均等に混ざり合うように 万物はゆっくりと回遊する
死の世界にいる僕と生の世界にいる君
僕を批判していた者も悲しみの世界の側に立ったようだ


僕は成長する為に君の死を神に打ち明ける
与えられたのは光輪だけ
君を君の歌を君の想いを全て掬い上げて天国へ持っていきたいよ
僕の背中に羽があったなら
祈りを平和を心の平安をどうか僕に下さい
どうしようもない想いを歌に混ぜ合わせて誰かの元へ届いて
盲目の苦痛を絶望を恐怖を抜き取って下さい
この歌の歌い手の気持ちを心の中で分解して消化する僕
終わり無き歌を 暗闇を照らすような輝かしい光を
僕の詩を永遠に残らせるように


季節は春になって
歌に合わせて軽やかにダンスする君
日溜まりの中で目に焼き付いて
とめどめのない想いが垂れ流しになっているのをお構いなしに
天に向かって歌っているのだろうか
僕の世界に染み渡ってたっぷりと潤って
僕は宙を彷徨い続けて
星になろうと思うんだ
悪化した体を月の光に時が眠りに就くまで浸して
心の何処かで救われることを切望して
君と歩き続けるよ
夕日が傾いた道を
命が力尽きるまでいつまでも光っていたい


自由詩 万人の為の詩 Copyright 円谷一 2007-07-21 03:51:27
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