サイン
藤原有絵
いつも目の前に
「もしも」
を二つ用意する
願っていない方の
もしも
だったとしても
驚きすぎたり
悲しみすぎたり
しないように
少しでも
耐性を持っていようと
思って
思っていただけだったのに
いつからか
いつも
楽しくも
悲しくも
どちらでもない
そんな私をみつけてしまって
あ
っと思う
何か
間違ったものを
半分半分にしてしまったから
どちらでも
曖昧なままなんだ
そう思ったら
それが一番悲しくて
たとえば
笑えなくても
泣けなくても
あの人といることに
一生懸命になって
本当に辛い事がおこるとしても
それがやってくるまでは
そんなもの
知りませんよ
と いう涼しい顔をして
そう
一生懸命
あの人の言葉を聞いたり
あの人に話しかけたり
ちゃんとしよう