意気地なし
yoshi
彼女が指を絡ませる
僕の指に絡ませる
くるくると表情を変えながら
楽しそうに話をしている
行きつけのバーに彼女を連れて行くと
マスターが僕に言う
随分可愛い子つれてきたね
僕は気分がいい
お酒も美味しいし
彼女の笑顔もとても素敵だ
彼女が結婚をして
だけど幸せになれなくて
もがいているのは知っていたけれど
僕がしてあげられることは
無いだろうと思っていたし
彼女と会えばきっと
恋をしてしまうと知っていた
だから会うのが怖かった
彼女からの電話で
会いたいと言われたときに
断る勇気が無かった
彼女に嫌われるのが怖かったから
僕は意気地なしだ
テーブルの下
指を絡めた手を見下ろして
それでも僕は
気分がいい
彼女と別れて
家に帰って
シャワーを浴びよう
僕は
シャワーを浴びながら
きっと落ち込んでしまう
そんなことさえ
今すでに
もうわかっている