The Blues Are Still Blue
岡部淳太郎

あおい月がしずかに沈むのを防ぐために、どれだけの灯
りが必要だろうか。どんな空の下でも、繰り返される息
があり、その色は見えないが、あかでもなく、みどりで
もなく、あお。それに限りなく近い色だろう。どんなに
距離をかせいでも、とどかないものがあり、それは日々
刻々ともたらされる人びとの、笑いと涙と憎悪と、それ
らの日常の中へと消えていく。あお、私たちの好きな色。
それがのこした歌と思想と、それら計りえないものたち
の走行を、その過程を思い出してはたどりなおす。そし
て月は、伝えられなかった人びとの前でゆっくりと沈ん
でいく。あかでもなく、みどりでもなく、あお。その色
はいまだ変ることはなく、私たちの記憶をのせたまま。



(二〇〇七年七月)


自由詩 The Blues Are Still Blue Copyright 岡部淳太郎 2007-07-14 21:11:20
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