日記 1987年7月14日〜15日
たりぽん(大理 奔)
昆明からの夜班バスは、おもしろい香港人の隣の席。あいやーとかいいながら香港人は数人で騒いでる。相変わらず運転手は壊れそうなエンジン音を立てるバスのアクセルを、床を踏み抜きそうなぐらいに踏み込む。夕焼けが山の上にある。暗く街灯もない未舗装の凸凹道のカーブで、わらを満載した牽引トラクターを追い抜くときはかなりの恐怖を感じる。夜中、1時半頃、峠の休憩所で夜食。乗車券についている食券で味の無いスープにうどんのような麺が浮いたものを食べる。まずくいとかうまいとかではなく、体が温まるのが嬉しい。雨が降り出す。とても寒いのでマウンテンパーカーを取り出して着る。
夜をくぐって、大理の入り口、下関という場所にバスが着く。そこで別のバスに乗り換えて朝7時に大理に到着する。昨日で夏時間が終了しているので時間感覚がずれる。宿は一泊五元。パスポートを預けるのがすこし怖い感じのぼろ宿。
麗江までのバスの値段を聞くと七元。所要時間は4時間。14時間の間違いでは無かろうか?と思いつつそれは明日確認。とりあえず沙坪の月曜バザールまでの往復4元のバスチケットを買って出発の八時半まで朝食。宿の横の食堂でフレンチトーストとスクランブルエッグを頼む。びっくりするほどまともでおいしい。ヒッピーみたいな西欧人が大理にたむろするわけだ。
バスは小さくてチケットを持った人が乗り切れない!汗くさい日本人のおっさんがぶつぶつ文句いってる。うるせー。快適な旅がしたけりゃツアーで来いって感じ。バスは湖の見える高台を走る。半時間ほどで沙坪へ。
ほんとうに美しい水面。すこし曇り空だけど、それがなおいっそう透明な湖水を神秘的な鏡に見せている。月曜バザールでは早速、アクセサリーを手にした白族の美人さんがどっと押し寄せる。ちょと辟易とする。みたことのない魚の煮付けや変なチーズが売ってるが今日はチャレンジしない。なにしろ夜通しのバスでほとんど寝ていないから、そんなもの食えるか!ってこと。
雨が本降りになってきたので白族の家屋に避難。けっきょくそこでアクセを買わされたよ。バザールで食べた麺は味があっておいしかった。昼過ぎに大理に戻る。なぜか食欲が復活してきたので朝の食堂で紅焼豆付を食べる。うまいけど、この米パサパサしすぎ。宿に入って仮眠。3時間ほど眠っただろうか、同室の明大生は昆明へと帰ってしまっていた。
8時になり夕食。憩洛茶室というところでステーキを頼む。いやぁ、うまいね。キュウリやリンゴもうますぎる。次に来るときは日本からマヨネーズ持参だな。ついでに火鍋も頼んで豪華な夕食を香港人と一緒に騒ぐ。
店のおばさんが はおつぃーま、ときくので日本語でめっちゃうまいでーというと通じたようで、汚い歯を見せて満足そうに笑った。
明日は麗江へとむかう。
大理は中世の宿場町のように旅人を旅人のまま眠らせる、やさしい町だ。