「 泣いて、泣いていない。 」
PULL.







あたしは河だった。
両岸の、
親族と参列者を満たす河だった。
あたしは、
泣いて、
泣いて泣いて泣いた。
やがて涙は両岸に溢れ、
氾濫し、
洗い流した。
後には思い出だけが残る。
誰も傷付けず、
誰も傷付かない。
きれいな、
あの思い出だけが残る。

あたしは泣き屋で、
それがあたしの仕事だった。












           了。



自由詩 「 泣いて、泣いていない。 」 Copyright PULL. 2007-07-13 09:35:42縦
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