無題
山中 烏流

そうして君は、と
切り出した言葉の奥で
俯いたままの昨日は
指をくわえて
泣き崩れていたりする
 
引き金を引いた僕と
受動態を貫いた君の
どちらが正しいのかさえ
僕には分からなくて、
また
 
 
解き放たれた全ては
細分化される前に
君へと突き刺さっている
 
緑色の液体が
ぬめりと溢れる中
僕は無関心そうに
引き金を弄ぶ
 
 
 
どうして僕は、と
自問した言葉の隅で
正解を望んだ明日は
耳を塞いで
うずくまっていたりする
 
逃げ道を探す僕と
ただ、にこやかなる君の
どちらが正しいのかくらい
僕には分からなくて、
けれど
 
 
駆け出した足音は
意味を成す前に
君が刈り取っている
 
緑色の液体が
ぬめりと絡まる中
僕は無関心を貫き
足音を響かせる
 
 
 
こうして二人は、と
目を閉じた祖母の血は
紛れもなく赤色で
話し声は一瞬
途絶えたあと、続く
 
 
 (ああ、そうそう
 
 (実はその人
 
 
祖母の血は、
赤い。


自由詩 無題 Copyright 山中 烏流 2007-07-13 01:08:02
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