摂動
悠詩

みんなの幸せを願った言葉を
みんなに届けようと
誰の顔も見ることなく
誰の心も見ることなく
蒼い天に放った

不自由な言葉は重力にひかれて
わたしの顔にへばりついた


ひっぱったのは地球じゃない
   (摂動――太陽の周りを巡る星の
矛盾したホワイトホール
   (    ほかに数々の
自身にすら盲目で
   (    星が在ることで
衛星軌道に達しない偽りの優しさを
   (    軌道が揺れる
省みないほどに無責任で
   (    ちからの鎖は連綿と続き


ゆらゆら
ゆらゆら
(星/言葉)のたゆたいは解放?


本音とタテマエで動かされた星は
   (切慟――自身すらごまかしていたのに
他の星を揺らしていく
   (    どうして隣人を救えようか
運動方程式の解など知るよしもなく
   (    星の配列を見ずして
ただわかっているのは
   (    超ロケットエンジンを積んだ言葉は
初期条件がホワイトホールの存在であること
   (    不自由を貫き続けるだけ


わたしに操られた自由な言葉は
わたしの衛星となって
摂動を生み出していく

わたしの名のもとにおいて
いつか衛星が
輝ける恒星にならんことを


自由詩 摂動 Copyright 悠詩 2007-07-10 13:39:06
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