摂動
悠詩
みんなの幸せを願った言葉を
みんなに届けようと
誰の顔も見ることなく
誰の心も見ることなく
蒼い天に放った
不自由な言葉は重力にひかれて
わたしの顔にへばりついた
ひっぱったのは地球じゃない
(摂動――太陽の周りを巡る星の
矛盾したホワイトホール
( ほかに数々の
自身にすら盲目で
( 星が在ることで
衛星軌道に達しない偽りの優しさを
( 軌道が揺れる
省みないほどに無責任で
( ちからの鎖は連綿と続き
ゆらゆら
ゆらゆら
(星/言葉)のたゆたいは解放?
本音とタテマエで動かされた星は
(切慟――自身すらごまかしていたのに
他の星を揺らしていく
( どうして隣人を救えようか
運動方程式の解など知るよしもなく
( 星の配列を見ずして
ただわかっているのは
( 超ロケットエンジンを積んだ言葉は
初期条件がホワイトホールの存在であること
( 不自由を貫き続けるだけ
わたしに操られた自由な言葉は
わたしの衛星となって
摂動を生み出していく
わたしの名のもとにおいて
いつか衛星が
輝ける恒星にならんことを