奥津 強

一閃の 日差しは 無音だ
物事を しゃべらぬ
だから 遠くには 太陽の 棺が
悪魔を 寄せ 待っているのだ

緩慢であり 擬似的な 死かもしれぬ
だが おれの 頭には すでに
全ての 人間の 死が
友である 絶望の 涙と 共に
おれを 運ぶ
太陽へと

一閃の きらめきすらも 暗き 月光の
焼き場に 入る
焼き場の 主すらも 入る
あの 黒い 家が おれの 
最後の 道だとすれば

おまえに 最後の 希望を!
おまえは 打ち勝て!
自身の 正義を 立証しろ!
おまえは 絶望を 持て

おれは 白痴かもしれぬ
恋愛に 疎く 中身のないものに 疎く
感じる あらゆる ものに 疎く
それを 人生の 楽しみというのなら

死は 逃れられぬか
ああ 後ろで 泣いているのは 友だ
逃れられぬ 友だ


自由詩Copyright 奥津 強 2007-07-10 04:34:18
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