七夕の奇跡
愛心

何も、考えたくなくなるときがある。
貴方を、思い出すとき。

あの七夕の夜。
恋人だった貴方は、遠いところに行ってしまった。
もう、何年も、逢ってない。
連絡も取れず、ずっと一人だ。


貴方が行って5年目の七夕。
ふと窓を開けて、夜空を見る。
曇っていて、織姫と彦星が見えない。

あたしといっしょやね。

涙が流れないように、上を向いて笑った。



そのときだった。
ケータイの着信が鳴った。涙をぬぐい、慌てて出る。

もしもし?

『あ〜。久しぶりやなあ。下見てみ。下』

懐かしい声。笑顔で手を振る貴方がいた。

だっしゅで駆け下りて、抱きつく。

一通りなくと、貴方はあたしの頭をぽんぽん、としてから夜空を指差した。

あ。

雲が晴れていた。綺麗に星が見える。

あたしは貴方に寄りかかると、ぽつり。呟いた。



あたしと一緒やね




自由詩 七夕の奇跡 Copyright 愛心 2007-07-08 21:44:05
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