やさしさの降る夜に
いすず

七夕のお祭り 近付くたびに
なつかしさこみ上げるのは あの夏があるから

やさしさが 手に届かなかったあの頃
あなたの声が 手が 触れるたびに戸惑った
どうして愛がそんなにも傷つけるのか
あなたのことさえ 理解できずに

恋の証拠 なにがあればいいのか 教えてほしいの
ノートに書き綴った 古い文字

傷つけあいながらも 傍にいて
涙枯れたわたしに嗄れた声でいった

きみの落し物は ぼくが拾うから
もうなにも悲しまないで ぼくが守るから

星々の夜は  かすかなきらめきが夜空に映えて
たくさんの  時を越えて時に祝福された
一緒に  あたためたカップでのんだホットコーヒーは
ほろ苦くて 恋の味だとあなたがみつめて笑った  

半端な想いじゃ届かない
めぐりあった この偶然は神様の賜り物

やさしい強さが持ち味のあなた
おだやかな雨が 窓ガラスに降る

ふたりだけで過ごした夜に
そっと祈った思いがあるね
ずっとこのときがつづきますように
ふたりでおててを握り合わせた

どうしてかな  こんな夜には
星空を眺めてみる 寄り添ってた夏のように
たくさんのララバイも たくさんのセレナーデも
わたしの眼にうつるあなたは
いつまでも あの時のあなたのままなのかな

やさしさの降る夜に いつもおなじメロディを聴いていたい

どうしてかな こんな季節は
もう恋の 終着駅のようなの
時の移ろいに ひとの情は変わっても
あなたとの絆は  刹那さえ越えるから
あたたかな瞳が わたしを呼んでる  壁にもたれて

ここにおいでよと あなたが差し招く
その甘い声に  忘れていた思い出を思い出す
あたたかな胸に 抱き寄せられると
そのぬくもりで  安らぎにやっと出会えるの
わたしがずっと探していたもの

やさしさの降る夜は わたしの遠い旅の落し物



自由詩 やさしさの降る夜に Copyright いすず 2007-07-07 06:01:29
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