タワシおやじ
ブルース瀬戸内

私だってね
私なりにね
考えているんだよ。
このチクチクした頭をね
もう必要としないなんてね
ひどい話だよ。

なんだかね、
頭から否定されてね
じゃあ私は何なんだよ。
じゃあ私は誰なんだよ。
そりゃね
どこが頭か、なんて問われたらね
私だって皆目分からないよ。

でもね、私はね
まだまだ負けないんだよ。
新参者にね
負けるわけにはいかないんだよ。
スポンジなんかを相手にね
一敗地にまみれるなんてね
屈辱なんだよ、ファミリーの。

大体ね
フライパンも情けないよ。
スポンジだけで綺麗になっちゃって。
いいのかね、それで。
昔はね、コゲがもっとこびりついてたよ。
それこそフライパンと一体化しそうだったし
ある意味、一体化していたんだよ。
それが今じゃさらさらとコゲがとれちゃう。
面白味がないんだよ、さっぱり。
フライパンの矜持なんてものはないのかね。

故に、私がお役御免のピンチというわけだからね。
ひどい話だよ、まったくもって。
ただね、ピンチはこれはチャンスだからね、
いや、言ってみただけだけどね。
そりゃ、虚しいさ。
でもね、使い捨てなんてまっびらだからね。
タワシここにありってね、
言わせてやるんだから。

そのためにね、
生きてるようなもんさ。
負けないよ。


自由詩 タワシおやじ Copyright ブルース瀬戸内 2007-07-06 22:17:43
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