ちゅん
shu
殺しあったり自殺したり
争ったり憎みあったりいがみ合ったり
それは仕方のないことで
脳みそやらDNAの仕業であってね
オレたちは生まれてくる前から
邪魔するヤツらにヘンな酵素爆弾ぶっかけたりして
くるくるアタマくっつけて回ってる奴らを横目に
必死に生き残って卵にたどり着いたわけだし
みんな殺人者だし
そうして
殺して殺して
光を求めて
生まれたのよ
泣きながら
だから
涙と血はおんなじ成分なんだ
流しきれない涙を血にかえて
溢れるようにからだに湛えて
鳥や象や動物たちは自分の死に場所を知ってて
ひっそり森の奥で死ぬんだよ
自殺してんだよ
お医者さんなんていないからね
あたりまえのように目を閉じて
地面にゆっくり顔をつけて
鳥は空を飛ぶとき優越を感じてるか?
そうじゃない
ヨタカは太陽に向かって飛んで死ぬのか?
そうじゃない
夢や希望もない
ただ生きることがすべてて
ただ在ることがうれしくて
うれしくて怯えて飛んで怖がって跳ねて戯れて羽ばたいて
スズメのチュンは死んだよ
まるでひとのように
だから
ちゅん
ね
おまえも小さな涙を
抱えていたね
おれの手のひらにあったぬくもり
口をあけてなにか言いたげに静かに目を閉じたチュン
レンゲの咲き乱れる畑で
おまえのいのちが
なんて軽い
ちゅん
おれもいつか羽ばたいて
どこかの土のうえで
だれかの手のひらで
たんぽぽの綿毛のように