来世
ロカニクス

カレンダーの塗り潰しすぎにより
よし子の来世もしくは永遠
それは壁になった

よし子が生まれたのは暑い日だった
怠惰をまとった団扇の風がピタリと止み
それがよし子の生まれた証になった

ベッドの中での五歳夢は五つあった
一つはお嫁さん
二つめはお花屋さん

もう三つめは子犬
四つめはチューリップ
そして五つめはきれいなお城

それからも決して
壁になりたいと思ったことは無かった

だからこれから先のよし子は
悲しいよし子になるのだろう

生まれたときと同じ病院
知らされたよし子の親は目を閉じた
そこによし子がいた

よし子は塗り潰してきたカレンダーを折って
船と飛行機を作った

よし子の生きてきた証は
よく沈みよく飛びよく浮いてよく落ちた

どうかきれいな壁になって
たくさんの人にたくさん会って
よく喜んでもらえるように

そう祈ったのは
他ならぬ彼らだった





自由詩 来世 Copyright ロカニクス 2007-07-04 17:25:47
notebook Home 戻る  過去 未来