終演
山中 烏流

説明不足のままで
鳴らしていた警報は
今はもう、空気に溶けて
宇宙へと
気化している
いるから、
 
正論をぶつけたと思っている
君の思考から
ネジをほどよく外して
考えることを
やめさせなくては、ならない
 
 
*
 
 
未完の物語を綴る
永遠に繋がっていく
物語を綴る
 
それが
本当かどうかは
君にかかっている、と
嘘を 吐いた
 
 
**
 
 
「うまれてはじめて
 みえるいろが
 あか、なんだって
 
 だから
 ぼくとつながったいとも
 あか、なんだよ」
 
いつか、君が
言っていたような
気がする
 
 
****
 
 
ネジを外したあとの
小さな穴を
絆創膏でふさぐ
 
溢れだした思考が
手にかかって
べたべたとしている
 
気持ち悪くは
ない
 
 
*
 
 
目を閉じた時が
一番、真実なのだと
君は言った
 
言ったあと笑った
それが、嘘だと
私は気付いている
 
 
**
 
 
「なら
 私の両の手から
 伸びる糸、全て
 
 はっとするくらいの
 赤、だと思うの」
 
いつか
私がそう言ったとき
君は何故
泣いて、いたのか
 
 
***
 
 
もしも無人島に
何かを持っていけるとしたら
君以外なら
なんだっていいと思った
 
私は言った
言ったあと、
 
小さく
音をたてて
キスを、残した
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


自由詩 終演 Copyright 山中 烏流 2007-07-04 08:28:25
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