きず
水在らあらあ







?.


眠っているとき
おまえは
ほんとうだから
なあ
なんで
眠っているときだけ
おまえは
本当なのかな







?.


ひかり
  ひかり
   ひかって
  きえて

たくさん
  さかな 
   およいで
 いるよ

つぶつぶ
 たくさん
  わらって
 いるね

うに
  いるよ
    とって
 たたいて

   ほら
     いのち
       いま
         きえるよ

            はりが
              すっかり
                しずかに
                     なって

  なんだか
    あんまり
      おいしく
        ないね

      おまえに
    うみを
   しって
  ほしくて

 いのちを
    ひとつ
      ころし
    たのに
   
   むらさき
 ずっと 
   ふかく
     ささって

   わたし
    いらない
      そんなの
        いらない

      いらない
    だから
  やさしく
 あいして

きずは
 いらない
  せかいの
    きずも

 あなたの
    きずも
      わたし
        いらない

       どうして
     そんなに
    せかいと
  いっしょに

 なろうと
   するの
 ちを
ながして







?.


ほら もう行くよ
いいよそれで きれいだから
似合ってるよ 首飾り 虹色のビーズ
いいよ そのままで 髪の毛
犬みたいな いや
太陽と海の 匂いするし 櫛なんか
いれなくていいよ ほら行こう もう
慣れないこと すんなよ
化粧なんかして おまえ パンダみたい
え なに あ 痛い痛い
うわ すごいの付いてたなこれ この海藻 食えるかな
ああ もういいよ だってとってたって時間ないよ きりないぜ
仕方ないだろ だって ぎりぎりまでいたんだから 海
もう何だっていいよ靴なんか そのサンダルでいいよ
知らないよ 似合うよ もう行こう
痛い痛い痛いって なんだよ引っぱんなよ
見た目一緒だろ 少し匂うけど
髪の毛も 海藻も一緒だろそんな
わかんないよみんなどうせ 黒いから
しかもこの陽気だぜ
こんなに南風吹いてるんだからさ
もう日暮れちゃうよ トップレスいなくなっちゃうよ
痛いって

チンチン 
このサラダいいね
ハチミツのビナグレッタだね
このチーズ カブラだね
ああ レーズンと胡桃はあげるよ
それでね
今日 いつもの岩場で 蟹追っかけて疲れて
本当は海入りたかったんだけど 結構荒れてて 危なくて
あの平ったい岩にタオルしいて
Tom Wolfeの辞書みたいに厚い
くっだらねえボンファイア―読みながら寝てたら
俺が降りてきた岩場に
いつも来るヌーディストのおじいさんが来て 裸で
最近よくこの岩場で見る若いスペイン人が
そのおじいさんのお尻に日焼け止めか日焼けオイルを塗っていて
その塗り方がちょっと変で
俺はTom Wolfeを閉じてKiplingに切り換えてさ
ジャングルの歌ばかりめくって口笛吹いて
カモメが鳴いてるんだけど 他にもなんか鳴いてて
鳥の声でもなくて イルカでもなくてね
頭上げてみたら
ちょっと外れた岩で
本気でやってた 若いのが上で 当たり前か 逆は恐いね
はじめてちゃんとみたよ あんなの
それであなた
どうしたの?
どうしたのって
そのまま海入って
ゴーグルとシュノーケルつけて泳いで
崖登って帰ったよ 本は崖の上に投げて
波 やっぱりきつくて 出るとき 膝打ってさ
でも思い出すと
思い出すとなに?
それはきれいで
それって あれ?
ああ、まあよくて
なんか 青空で あそこさ 街に足向けて寝転んだら
右が海で 左が崖でその上が山でしょう
いや でも それでもないな 多分それは単純に色で
西洋の色で 青空と流れる雲と 海と 夏の緑と
西洋人の肌の色だと思うよ 絵画だ あれは

(絵画だ おまえも ロンドンで買った 黒いドレス
 オレンジの照明が 金色の髪を燃やして
 コンテンポラリーな 痩せこけたパンダだ 化粧なんかして
 おまえの後ろの柱にかかった エルビスが口に手あてて
 笑ってるぜ サインつきでさ)


まあ…
まあどうでもよくてさ
なあ
もういいよ
デザート来るよ ああ もう頼んどいたよ
ジプシーの腕 ここのおいしいよ

チンチン 今度は何に?
そうだな パンダに パンダの健康と幸運に
ばか。ううん、クマさんに クマさんが 冬眠から覚めてみる世界に
ああ パンダとクマに

パンダとクマに







?.


海沿いなんだな 結局
この街も 
おまえの心も体も

それだからそんなに泣くんだ
霧雨の夜 ただ悲しみだけを込めて泣く
オレンジの街頭に照らされたマグノリアのように
静かに 音も立てずに 泣くんだ

小さな金魚蜂があって そこに 毎朝
駆け寄っておはようを言うおまえのめちゃくちゃな金髪は
いつだって太陽と海の匂いがした

ほら もう行くよ
真夜中のマグノリアを
あじさいを
荒れた海を 
見に行こう

泣いてないでさ
泣いてないで
ほら
もう行くよ







?.


きず
  に
     きす


           いたい

             いたい けど
              そうしてくれた のは 

                    おまえ
    だったから おれは

          うに を
              ころして はなばな を ころして

    いちどは ばんびを
              はねられた ばんびを

 ころして たべたね でも

   ほんとはね

     うみを

 うみを しってほしくて
    
    うみぞいの おまえに おまえの こころに

         おまえの 体に

 海を ほんとうの 海を



きず は きらいなの

    きょう は か が おおいわ

      どうして

         そんなに

           やさしく するの







?.


眠っているとき
おまえは
ほんとうだから
なあ
なんで
眠ってるときだけ
おまえは
本当なのかな













自由詩 きず Copyright 水在らあらあ 2007-07-04 06:00:59
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