空気の距離
吉原 麻

あんまり好きじゃない、甘いクッキーを口に運びながら
どうしようと思い、でも電話をしてみる。

3か月ぶりの声。
電話になると聞き取りづらい、こもった低い声。

「会話が圏外だよね」と笑いながら
でもなんだかつうじる、あったかい気持ち。

違う場所で
違うことを
違う人と
してることが信じられない

そんな近かった距離も

ないことになってる、香りがする。


これくらいがちょうど良いよね、と言い合いながら
ちょっと滲む。
でも、これくらいなんだ。

君の後ろに流れる、星に願いを、を聴いて
ケニードリューのCDをあげたことを思い出した。

良かったな、あのころは。


今度はそう言い合いながら、
出る言葉。
今度会おうよ。


そうだね、会おう。
私が名古屋に行ったら、
君が東京にきたら、
それでそのときたまたま二人が暇だったら
そしたら、会おう。


自由詩 空気の距離 Copyright 吉原 麻 2007-07-02 23:12:11
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