■共同作品■ 絵日記
Rin K






「一番星はどこに」


風薫る陽だまりの中少女跳ね触れようとする新しい夏

どこへでも吹くなら吹けと夏風に弾む心と手に入れた恋

この海はいつかあなたと出逢う海一番星がウインクをする

夢にじむ遠い夜空に最終の西へ行く列車星を繋いで

   ・
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まどろみをさました遠い夏の陽は 輝いていた君の笑顔だ




「夜想」


赤い月名前のない夜迷子の僕凍れる時を手放して、夏

その指でほどいてほしい夜がある そしてしめやかに二人結わいて

静寂夜ときの境界(さかい)をなぞってはわざと夜明けを遅らせてみる



「レイン・シャワー」


夏は来ぬ紫陽花の色あせぬまに秘めたなみだの露を置かんと

夢あわき老いし我が身や 水無月の 雨とたたずみ短夜を聴く

乾かすも無駄な努力ねまた涙紛らすために露草を摘む

白い花咲くころ雨の町を背に二人はどこへ夢の岸辺へ



「すだれ越し」


夏野菜少し照れ気味棚の上みずみずしさに汗とまる午後

ひとりよりふたりの願い九十九折 膝も笑うが心もわらう

液晶の君の言葉のぬくもりを 暖め行かん長き旅路を



「クレヨンで描く遠い絵日記」


向日葵に歌ってあげる新しい 夏の調べは逃げ水の先

夕涼みスイカの種を飛ばしては競いあったね恋さえもまた

縁側で西瓜と並んで腰掛けて 風鈴とあの子の名前呼ぶ



「水彩滲む遠い絵日記」


臆病なふたりは手と手にぎりしめ下校の道は恋の肝試し

梅雨庭に翅をぬらした黒アゲハドクドク止まぬ恋の体温で

寄りそって夕陽眺める山頂の赤より赤く心は燃えて

口笛がきこえた気がする月夜空こころ澄ませば浸透してく








短歌 ■共同作品■ 絵日記 Copyright Rin K 2007-06-30 20:42:44
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■短歌バトン■
共作連歌集(うただま)