こっくりさん
美砂

放課後の学校は静かで
でもまだどこかにざわめきを隠していて
傾いてきた栗色の光が
少女たちの瞳を
大人びてみせる
窓は少しだけあけておかなければならなくて
そこから
教室じゅうに清新な風が吹き渡る
早馬みたいな風が

紙と鉛筆と十円玉といつものメンバー
それだけあればできる
すこしこわいこと
でもとっておきのこと

息を殺して
少女たちは
十円玉の描く軌跡だけを
追う

自分と自分じゃない力が
破裂しそうに拮抗している
だが、ふと、
動きが迷うと
ふるえる指先に
共犯めいた心が忍び込んでくる

少女らはそしらぬ顔で
麻薬に酔いしれる
神の意思は
かわいらしい小さな指のしたに
蹂躙される



自由詩 こっくりさん Copyright 美砂 2007-06-28 22:42:36
notebook Home 戻る  過去 未来