午前4時・真珠
たちばなまこと

午前4時
ほの白く ほの青い 四角い窓から
まちの寝息が
明かりの粒子が 舞い込んでくる
街灯は 夏の虫を誘って
ゆれるように強く

黒い瞳に ひとつずつ
真珠を入れて
まばたきもせずに
夜明けまでの川すじに 不思議を探す子ども

ほの白く ほの青く 窓からは
さらさら さわさわ まちの寝息が聞こえる
背中の汗を乾かすように
いくつも寝返りをする
窓の手前に母を見つけて
瞳の真珠をくれる

生まれた日のような 見つめ方で
生まれた日のような 手探りでも
乳房を見つけるのが 上手になった

生まれる前のように まるくなるふたり
さらさらの さわさわの 寝息に還ろうと
言葉も子守唄もなく
早起きの鳥がチュルル
夜のしっぽにつかまって
まどろみを探すふたり


自由詩 午前4時・真珠 Copyright たちばなまこと 2007-06-27 07:19:55
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