夢の思想
円谷一

 夢の中で殺された者は息を吹き返さない
 今まで原因不明の病気と言われ死んでいった者達の原因は夢にあった
 夢の中で死ぬことを夢死と呼ぶ 人々はいつ夢の中で殺されるか分からない だからいつもビクビクしている そして短時間眠っては飛び起き 短時間眠っては飛び起きを繰り返している
 その為子供は極端に少ない 産んでもその子が夢で殺される夢を見てしまえばその子は夢の中で生々しく苦しみながら死んでいくからだ そんな思いをさせる親はいない 中には思考がもうパニクっていてそういうものに快楽を覚える者もいるが
 人間はいつ自分が死ぬのかで脅えている 夢の中で殺される夢を見る者はそう滅多にいないが 人々の脳裏にはその恐怖がへばり付いている 生まれた時から親に捨てられていた者達は大抵夢が怖くて育てられることができずに捨てられたのが多く 夢に対して怨みを持っている だから少しでも自分達の不幸を人々に与えようと現実で恐怖をふりまき 夢の世界まで人々を追い詰めようとする そうして夢の中で人々は殺されていくのである でも夢の中で殺されることは分かっていても 誰に殺されたかということまでは分からない この世には溢れるほどの恐怖や暴力が渦巻いているからだ しかし完全に分からないわけではない 例えば寝言などをきちんと録音しておいて 死後誰の影響で死んだかを記録する者が増えている 夢の中で殺される時 何かしらのヒントを現実に必ず遺すのだ その結果 夢の中で殺した人物を細かく分析し 犯人を割り出すことができるのだ もちろんその犯人は夢で殺される原因を作った容疑で同じように恐怖を与えられ夢の中で処刑される 直接手を下さなくてもいいというところが国会で議論を繰り広げている つまり 夢で人を殺すことも夢で人が殺されることも非常に危険な思想を孕んでいるということだ
 現在毎日10万人に1人が夢の中で何者かに殺され目を覚まさない 大抵は違法な電波を使って放送している恐怖番組を見て死んでいる 悪質な宗教団体などが日本を滅ぼそうとして流しているのだ 家庭でも学校でもきちんとした地上波の番組でも再三注意しているのだが興味半分で違法な電波をキャッチして悪い脳科学者達が作りだした夢に作用する映像を見てしまうと ほぼ確実に夢の中で殺される夢を見てしまうのだ こういう事件は世界中で起きている その為警察は24時間態勢で絶えず周波数を変える電波を追って悪質な宗教団体や悪い脳科学者達を検挙することに全力を注いでいる
 インターネットでも違法なグロテスクな写真や映像や恐怖を煽るような言葉で溢れている 自分から進んでそういう類のものを見て 夢の中で殺されることを他自殺という 他自殺で死ぬ者達は一般的に小・中学生の者達が多い もっとも苦しい死に方だということを知らずに死んでいくのだ 警察達はその手のものも目を光らせて取り締まっている しかしそのような有害なサイトは星の数程あり 一つの恐怖では死に至らないので捜索は困難を極める(学校でいじめられるのも原因かもしれない) これからの未来を明るくする為にはそういう原因を根絶し 恐怖の無い世界を目指していかなければならないだろう


散文(批評随筆小説等) 夢の思想 Copyright 円谷一 2007-06-25 10:52:48
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