眠れない夜
麻生ゆり

眠れない夜は、本当に、孤独を誘う。
世界に、自分ひとりしかいないのではないか、
あるいは、
世界から、自分ひとり見捨てられたのではないか、
と、錯覚させるから。

だけど、この寂しさひとつ
乗り越えられなくて、
どうやって、これから先生きていける?
待ちうける暗闇の落とし穴を
どうやって、乗り越えればいいのだろう?

今日も、私の一部が
闇に、のまれた。
取り返したくて、ひとり、立ち止まる。

ああ。
また、あの月が嗤う。
ふりきりたくて、逃れたくて、
それでも、あの時のまま、何も変わっていないんだ。
繰り返し、日々を過ごしたのに。

また、朝がくる。
そして、次の震える夜がくる。
隣で眠る人の温もりに触れても
心は、どこか寒く
今日も
眠れない。


自由詩 眠れない夜 Copyright 麻生ゆり 2007-06-22 23:12:00
notebook Home 戻る