え
恋月 ぴの
埒もない想いに身を委ねてしまうのは
この季節特有の気紛れと
触れて欲しい
昨日までのわたしを脱ぎ捨てた
わたしのこころに
この瞬間に生まれ変わった
わたしの素肌に
季節は夏
そして
あなたの眼差しは
躊躇うことさえ打ち捨てた
わたしの総てを
あれは海鳥の呼び鳴き
夜明けの砂浜に打ち寄せられた
流木の熟れた節穴の奥深く
あなたは舌先で探る
とろり溶けた
木質の
したたりの
遠い過去より背負い続けてきた原罪のやるせなさと
熱病にうかされたかのように
繰返す
海鳴りがして
ひと夏の恋を求めて海鳥は
南南西の風に舞う