書庫中
たもつ

書庫の扉を開ける
水の中になってる
たぶん海なのだと思う
昨日まで資料や本の類だったものが
魚みたいに泳ぎ回っている
手を伸ばして一冊つかまえる
ページを開くようにお腹を指で裂くと
文字が気泡となって水面に昇っていく
公民館のプールで溺れた夏を思い出す
息が出来ないのは苦しいことだと知った
人前で溺れる振りが上手くなったのも
あの日からだった


自由詩 書庫中 Copyright たもつ 2007-06-19 08:51:10
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