6時限目
ヨルノテガム
こどもが目隠しして
こども同士
セックスしている
もう1時間も前からだ
こどもがおにぎりを食べている
次から次へと
もう1時間も前からだ
こどもが足元の何かを
蹴り続けている
硬くなっているのに
もう1時間も前からだ
われわれに何ができるか?
大人が作ったホラー映画を2時間見せたら
こどもも怖がって 気を改めるかと荒治療を思った
大人は1時間かけて歩いてレンタル店へ
1時間かけて戻ってくる
さあ こどもたちを前に 2時間のホラーを
存分に見せて後、部屋の電灯を恐る恐るつけると
こどもたちは めいめいてんでばらばらに
羽を背中に生やして、スヤスヤやかに眠っていた
大人は至って冷静に
台所の包丁と
日曜大工のノコギリと
趣味のアーミーナイフと
隣家から借りたチェーンソーを用意して
羽をザックザク もいで捨て切った
部屋は羽毛に舞い あまりに酷い狂乱の光景に
こどもたちのひとりが
糸電話の片方を
大人の耳にそっとあてがった
「もしもし 苦しみ
こちらにくれないか どうぞ」
大人は一息置いて
涙し、応答を返すべく耳から口へ
コップの向きを替えたとき
目の前
プツンと
糸は鋏で切られた