年上の彼女。
空 春色

あれから 三つ歳をとって 僕らは再会した。

彼女は 相変わらず綺麗で 

その横顔は 昔のまま優しかった。



君は突然 僕の手を握り締め

その手を開いたかと思うと 手相を見るように眺め始めた。

「働く男の手になってきたね。がんばってるんだね(^^)」

「こういう手 好き♪」

そう言うと君は 僕の左手の甲にキスをした。

驚いた僕は 

「そんなことないよ!」

と、手を隠した。


褒められたのは すごく嬉しかった。

でも 何度洗っても落ちない 爪のスキマに染み込んだ汚れ。

決して 綺麗とはいえなくて 恥ずかしかった。

自分の顔が 熱くなるのがわかった。

「クスッ」

彼女は笑った。


「どこ行こっか?」

そう言うと 再び 僕の手を 握り 彼女は歩き始めた。

風に揺れる柔らかな髪

優しくていい匂いが 君の存在を 確かめさせる。



一緒にいる。

二人でいるんだ。



そんなことを ぼーっと想っていると

「ねぇ〜どこに行く?」

突然立ち止まり 君が 僕の顔を覗き込む。


(どこでもいいよ。 君と一緒ならどこにいても楽しいから)


と、心の中で。



「じゃぁ〜遊園地行こう!」

「大丈夫〜?ジェットコースターとか 苦手なんでしょ?!」

「大丈夫!! 頑張るから!!」

「あはは♪ 具合悪くなっても 介抱してあげないぞぉ〜(^^)」

「えぇぇーーーー」



大丈夫。

その笑顔も声も 今日は 僕だけのものだから。



自由詩 年上の彼女。 Copyright 空 春色 2007-06-14 14:02:33
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