「笑と涙のぽえとりー劇場」レポート(前編) 〜5月〜 
服部 剛



   おはようございます。 

   毎度おなじみ、新宿の個室です。 
   昨日のテーマ「無人島に持っていく詩」は、
   やってよかったと思いました。 

   皆さんが好きな詩を読んだ後に自分の詩を読むと、
   やはり詩世界がつながっている印象がありました。 
   また時々このテーマでやりたいと思います。 

   さて、昨日の「ぽえとりー劇場」は、
   先月僕が読む予定で読めなかった、
   静岡の詩友の天川大輔さんの「由無」という詩で幕を開けました。 

   静岡の浜辺に歩く蟹をみつめて「ちこうよれ」 
   と語りかけるまなざしに、小林一茶を思いました。 
   そして「君の名は?」というラジオから流れる歌の問いかけに
   「俺は俺だ 何者でもない」という言葉が
   まっすぐに入ってくる詩でした。 

   以下、全員は思い出せませんが参加した皆様の感想です。 


   〜第1部〜 


   昨夜の参加者一人目は初登場のdiceさん 
   彼は生かした男なので好感を持っている詩友です。 
   「水に濡れたままずぼずぼ歩く」という姿が 
   やんちゃでポジティブなdiceさんらしくていいです。 
   オープニングにふさわしい、
   独特のリズムあるリーディングでした。 

   RABBIT FIGHTERさんは、谷川俊太郎氏の名作 
   「二十億光年の孤独」を静かな語り口で朗読。 
   >万有引力とは、孤独を引き合う力である 
   だったかな?この名フレーズは、一度聞くと心から
   消えない<なにか>を感じる、優れた二行ですね。 
   皆さまは、この詩の中に出てくる「宇宙人」は、 
   遠い宇宙の何処かにいると思いますか・・・? 

   終さん「願いには手が届かなくても、ここに残された手がある」
   という言葉が印象的でした。
   日本的な澄んだ感性の詩人・水無月一也さんの詩も
   読んでくれてありがとう。 

   平本閣さん 今回も「人のじゃない、自分のだ 生きるのだ」
   という熱い言葉を、ユーモアを織り交ぜつつの、
   熟練ギターユニット・ポエトリー。やはり貴重な存在感です。

   「ぽえとりー劇場」は初登場の斉藤隆星さん。
   「詩を書くと(忙しい日常で)忘れていたことを思い出す」 
   という言葉にうなずきました。 
   尊敬するタゴールの想いを貫くような詩と、
   自作の詩もどこかリンクしている「愛」を感じました。 
   素敵な声の朗読をありがとう。 

   こちらは初朗読でびゅーの佐藤恵美さん。 
   美声の歌と実家のお母さんへの感謝の詩。 
   プレゼントしてあげたら喜びますよ。 

   いつも聞く人を惹きつける朗読をする広瀬犬山猫さん。 
   「人身事故の為、止まることの多い電車」から入り、
   遮断機の描写と「禁断の愛」がテーマだったかな・・・? 
   緊張感のある朗読でした。 

   そして記念すべきぽえとりー劇場100人目の朗読者は 
   ゆひゃさんでした。先日日記を読んだらちょっと大変そう
   だったので、「こんな時こそぽえとりー劇場に」と声をかけたら
   今月も参加してくれて、しかも阿弥陀くじで順番決めたら
   100人目だったという素晴らしい巡り合わせでした。 
   ささやかな記念品を贈呈する時、皆で
   「ぱ〜ぱ〜ぱ〜ぱ〜ぱらららぱ〜ぱ〜ぱ〜♪♪」 
   とファンファーレを合唱して大きな拍手。 
   こんな詩のイベント見たことない・・・? 
   ゆひゃさんは僕の名前や葛西りなさんの頭文字で
   つくった詩や、食べ物を題材にした詩を読んでくれました。
   これからも人や食べ物の特徴をじっとみつめて、
   詩を書いてくださいね。 


   〜第2部〜 


   メインゲストの若きラッパー、灰人さん。 
   バックトラックを流しながら、
   力強い言葉の連弾が、昨夜も聞く人の胸を射抜きました。 
   「満ち欠け」という題のテキストの 

    心は満ちかける月の様 
    ぽっかり空いた部分を求める 
    夏の肌触り満月のフォトメール 
    何時か暗闇に虹を架ける 

   というフレーズが、初めて新宿のライブハウスで聞いた時と
   同じように、昨夜も僕の頭の中をぐるぐるまわりました。 

   「ラッパーになるには?」の質問に、 
   「ドラムの上で言葉を転がすんです」は名言ですね。 

   第4日曜日のSLAM主催の稀月みひろさん。 
   お題はLOVE・サンドイッチ・Dreamscometrue
   で今回も見事な即興芸でした。 

   初登場の白井明大さんは、僕が「ふわりと歩く、愛がある」
   と感じた優しい愛の詩集「心を縫う」よりタイトルの詩を朗読。 
   静かにつぶやく空気のような言葉をありがとうございます。 

   葛西りなさんは、謎のひげ男がぬいぐるみなり、
   ぬいぐるみの首をしめていると
   夢から覚めて、娘を虐待する母だった・・・という 
   はっ とするような展開。 
   「自分の首をしめる相手さえもまっすぐ見つめる 
    ぬいぐるみの澄んだ瞳」が印象に残ります。 


   以上が昨夜のぽえとりー劇場の前編でした。 





散文(批評随筆小説等) 「笑と涙のぽえとりー劇場」レポート(前編) 〜5月〜  Copyright 服部 剛 2007-06-09 18:43:08
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