考察 〈理科室にて〉
Tsu-Yo

先生をビーカーに入れて
塩酸で溶かすと
同じだけの虚しさが
胸の中に生まれた
誰かが
質量保存の法則だ、と叫び
それはたぶん正しいことだった
その日
トスカーナ州の子供たちは
ピサの斜塔を蹴り倒し
てんで間違っている、と叫んだ
それもまた
正しいことなのだろう

誰も間違わなかった日
世界は少し
間違っているように見えた




自由詩 考察 〈理科室にて〉 Copyright Tsu-Yo 2007-06-07 22:55:25
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
考察