けだかさ
美砂

小学生くらいの
子供の
こころが透けてみえたら
大人はいうだろう、
ばかだな、
そんなどうでもよいことで、なにを、悩んでいるんだ、と。

ふりかかるひとつひとつを
わざわざ両手をひろげて、
抱きしめるようにうけとめてしまうから
うけとめたものに顔をしかめながら
それをはなしていいのかさえも
わからない
じっと黙って、
黙りこんで、
青ざめた顔で
笑う
瞳のうちがどんどん
あつくなってくるのを
だれにもしられないように

子供は大人より
気楽だろうか、
愚かだろうか、
ずるさをおぼえる前の
すべてはじめての痛みに耐える
小さな胸のうちは
高貴だ。
だれもが通ってきた道だと
そして
だれもがそれを瞬く間に
失うものだと
わかっていても


自由詩 けだかさ Copyright 美砂 2007-06-07 22:20:46
notebook Home 戻る  過去 未来