薪 (たきぎ)
こしごえ

朝日影にふくまれた わたくしの陰影が
ありのままの白い骨格で
よるべなく
この家に嫁いで来たのです。

その
わたくしが、
わたくしであるが故に、
わたくしを焼べねばなりません。
それは、己だけのもの、か
この灰は古の重さで大空へしずまるのだから

胎内の
底知れぬ空洞が
ひんやりとうずきにじむ。
奥のほうはトーンのまだらな
青青とした雑木林を
仄暗い目差で見ていたんだ。

陽炎の去る羽音へ
帰れない
初夏の日差しの中で
いつまでも
届かずに立ち暗み
宙へ手を

うっすらとうつむき
自らを焼くことのできない火のかわりに
燃えつづける 半透明な泉









自由詩 薪 (たきぎ) Copyright こしごえ 2007-06-06 16:40:06
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