悲しい占領地
ぽえむ君

満員電車の中のつり革を
片腕を伸ばしたまま
必死になって握り締め
このつり革は自分ものだと
態度で主張する
そんなわずかな場所が
そんなに欲しいのかい
数分後にはみんな降りてしまうよ
電車は定刻通り走ってる
つり革は次の人の手に譲られる

エスカレータの片側を
勢いよく駆け上がり
前に立っている人を押し退けて
急いでいる自分が正しいのだと
無言で訴える
そんなわずかな時間が
そんなに欲しいのかい
数秒後にはみんな降りてしまうよ
エスカレータは規則通り動いてる
ステップは次の人の足に踏まれてる


自由詩 悲しい占領地 Copyright ぽえむ君 2007-06-05 22:52:01
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