告解
大覚アキラ

朝の
アスファルトの冷たさの上に
巣から落ちた小鳥が震えている

拾い上げて
掌の中で
戸惑う様を見つめる

鳥が

一羽の鳥が
号泣しながら
地平線の向こうに飛んでゆく

母鳥
だとしたら
あまりにもメロドラマだ

園児たちが
銃声に似た叫びをあげながら
砂場の周りをグルグル回る
水族館の鰯の水槽かな
それとも
走馬灯かな

思い出すよ
あの夏の夕暮れ
抱きしめられた柔らかさの
湿り気を帯びた
くちびる
産毛

羽毛

飛び散った羽毛

飼っていたインコの鳥籠を
ベランダに出したまま寝てしまって
朝起きたら
鳥籠が壊されていたの
たぶん
野良猫が
野良猫が
のらねこがね

「羽根の量が少ないし
 血も落ちていないから
 きっと逃げたのよ」

そうかな
そうだといいな
そうだといいよね
おかあさん

おかあさんが
一人のおかあさんが
号泣しながら
水平線の向こうに沈んでゆく

ねえ

忙しすぎて
死ぬことを考える
ひまもないよ


自由詩 告解 Copyright 大覚アキラ 2007-06-05 10:52:18
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