表徴水
doon


 雨という言葉は
 雨からやってきたものではない

 最近になって私が雨を知ったのは
 金曜日の前の日だろうか
 もっと幼少の頃から知っていたような気もするが
 それまで冷たいということを
 何度も感じながら
 問うことも忘れていた


 雨の向こうには何がある
 真っ黒な
 鏡水面に落ちる水滴が
 幽玄の調べを落とす風のように
 明日の夢を語るのか
 友人に会いに行く
 雨自体の願いが波紋を造るのか
 サラサラと流れ落ちる様相にどうにか 砂
 限りあるが 数え切れないが
 見るに尽される

 雨の言葉のルーツ
 ルーツの始まりはどこへ
 しかして
 雨は空にいる

 居るという言葉は正しいのか
 人として 人であるが故
 迷っているのだ

 言葉は要らない と 思いたい

 一滴の雨が空を自由に
 制約はあれど自由に降りてくる
 この水は水溜りに変換される
 手の平に救った水
 この水の
 名前は如何に
 どこにもない水

 この水
 名をなんと名乗る?
 


自由詩 表徴水 Copyright doon 2007-06-03 05:17:41
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