三条



美しい夕方だ

そう彼は言った

わたしは気付かない振りをする

コーヒーが熱を奪われていく

あなたは答えない



清潔なベットの上で

わたしは服を脱がされる

子供の頃を思い出す

わたしはすこし

どうしようか道を失う


子供のわたしはいつだって

困ったような顔をしているの

そうして今も大人しくなれないでいる



ねえ、

なにも纏わないでいたって

わたしはなんともない

ほら、わかるかしら

わたしはまだ裸ではないわ

まだ繕っている



清潔なベットの上の

ふしだらな行為に

汚れた一枚の皮を

そっと抜けてまたつける



わたしはなにも術を持たず

ただやおらかに死んでゆくのね

これが幸せというものなのかしら






自由詩Copyright 三条 2007-06-01 21:51:23
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